50点だった算数が、80点に

-不登校だった小学4年生の女の子の小さな大きな一歩-
「算数、やりたくない…」
小学3年生の春。
彼女は少しずつ、勉強が苦しくなっていました。
もともと算数が苦手で、
授業のスピードについていけない。
分からないまま進んでいく教室で、
手を挙げることもできず、ただ黙って座っているだけ。
そして迎えた、5月のテスト。
返ってきた答案には、赤い数字で「50点くらい」。
その瞬間、彼女の心の中で何かが崩れました。
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「学校に行きたくない」
家に帰ってから、ぽつりと言いました。
「もう勉強したくない…」
「学校、行きたくない…」
最初は疲れかな、と思っていたお母さんも、
日が経つにつれて不安が大きくなっていきました。
朝になると涙が出る。
教室のことを考えると胸が苦しくなる。
そして彼女は、学校に行けなくなりました。
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学校に行けない日々の中で
学校に行かない時間。
周りはどんどん進んでいくように見えて、
家族も焦りそうになる日がありました。
でも彼女は止まっていたわけではありません。
心を休めながら、
少しずつ「自分を取り戻す時間」を過ごしていました。
そんな中で始めたのが、家庭教師でした。
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家での学びは、安心できる場所だった
最初は机に向かうのも嫌だった彼女。
でも先生は、無理に進めませんでした。
「今日はここまででいいよ」
「分からないのは当たり前だよ」
「ゆっくり一緒にやろう」
学校のように比べられることもない。
急かされることもない。
ただ、自分のペースで進められる時間。
そこで彼女は初めて思いました。
「算数って、怖いものじゃないのかも」
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基礎を固める日々
足し算・引き算。
かけ算。
文章題の読み方。
一つひとつ、丁寧に戻りながら積み上げていきました。
できた日は先生が笑顔で言ってくれます。
「すごいね!」
「前よりずっと分かってるよ!」
その言葉が、少しずつ彼女の心を明るくしました。
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小学4年生、夏休み明け
季節が変わり、小学4年生の夏休みが終わる頃。
彼女はお母さんに言いました。
「…学校、行ってみようかな」
大きな決意でした。
最初は週に数日。
短い時間だけ。
でも彼女は確かに、教室へ戻っていきました。
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テストで見た「80点」
そして迎えた算数のテスト。
返ってきた答案を見て、
彼女は目を丸くしました。
「80点」
去年の春、50点だったあの算数で。
彼女は小さく笑いました。
「私、できるようになってる…」
お母さんはその言葉を聞いた瞬間、涙が止まりませんでした。
学校に行けなかった時間も、
無駄じゃなかった。
家で積み上げた努力が、ちゃんと形になった。
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点数よりも大切なもの
80点はただの数字ではありません。
- 自信を失った子がもう一度挑戦できた証
- 「自分はダメじゃない」と思えた証
学校に行けない時期があっても、
学びは止まりません。
大切なのは、安心できる環境と、寄り添う支え。
そして何より、
彼女自身が踏み出した一歩。
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最後に
彼女は今も完璧ではありません。
でも、あの夏休み明けの登校と、80点は、
これからの未来を変える「希望」になりました。
「できるようになった」
その小さな成功が、心を強くしていくのです。







